小泉信三の家族構成を詳しく見ると、明治から昭和にかけて日本の近代化をリードした名門中枢との強固なネットワークが浮かび上がります。
信三の妻である小泉とみは、明治生命保険の創業者として名高い実業家・阿部泰蔵の三女です。阿部泰蔵もまた慶應義塾で福澤諭吉に学んだ高弟であり、信三と「とみ」の婚姻は、福澤門下における最も格式の高い名門同士の結びつきでした。
信三と「とみ」夫人の間には、長男の信吉(のぶよし)、長女の加世(三毛清樹夫人)、次女の美代(三宅晴輝夫人)、三女の妙(神谷不二夫人)という一男三女が誕生しました。三女の妙が嫁いだ神谷不二氏は、戦後日本を代表する国際政治学者・慶應義塾大学名誉教授であり、知の系譜は世代を超えて受け継がれています。