尾崎紀世彦氏の私生活は、輝かしいステージの裏で決して平坦なものではありませんでした。生涯で2度の結婚と離婚を経験しており、家族関係においては長く距離ができていた時期もありました。
最初の妻との間に一男一女、2人目の妻との間に一男をもうけましたが、多忙な芸能生活や自身の自由を愛する気質もあり、家庭生活を長く維持することは容易ではありませんでした。晩年は一人暮らしを続け、孤独を愛する孤高の生活スタイルを守り抜いていたと伝えられています。
しかし、病状が絶望的となった最終段階において、実兄の仲介や親族の計らいにより、離れて暮らしていた元妻や子どもたちが病室へと駆けつけました。長年のわだかまりを超え、実子たちと言葉を交わし、手を取り合いながら見守られるなかで尾崎氏は静かに息を引き取りました。その最期は、孤独な結末などではなく、家族の深い愛情に包まれた穏やかな時間であったことが、その後の親族の取材証言によって明らかになっています。