知能の高さにおいても、シャチとイルカは海洋生物の中で群を抜いています。両者ともに体重に対する脳の重量比率(脳化指数)が非常に高く、鏡に映った自分を自己と認識する「自己鏡映像認知」のテストをクリアするほどの知性を備えています。
シャチの社会は母親を中心とした強固な母系社会(ポッド)を形成します。特筆すべきは、群れごとに固有の方言(コール)を持ち、狩りの技術やコミュニケーションのルールを親から子へと何世代にもわたって教育する「文化の伝承」が行われている点です。祖母にあたる年長のメスが群れのリーダーとなり、食料が乏しい時期に過去の記憶を頼りに群れを導く役割を果たします。
寿命についても大きな違いがあります。一般的な小型イルカの寿命が20〜30年(飼育下や種類によっては40年前後)であるのに対し、シャチのメスは野生下で平均50〜80年、最長で90〜100年近く生きる個体も確認されています。オスのシャチの寿命は30〜50年程度ですが、メスのシャチは閉経後も長く生き続け、群れの知恵袋として子育てや統率に関与することが分かっています。