退去費用を少しでも浮かせようと、SNSや動画サイトの情報を頼りに自力で傷を直そうとする入居者が増えています。特にダイソーやセリアなどの100円ショップで販売されている「キズ隠し用クレヨン」や「かくれん棒」「木部パテ」を使った補修は手軽に見えますが、プロの現場視点では非常に高いリスクを孕んでいます。
実際の退去現場で内装業者や立ち会い担当者が目撃しているトラブル事例には、以下のような生の声が寄せられています。
「クレヨンの色味が微妙に合っておらず、光が当たると不自然なテカリと油膜が浮き出て逆に傷が強調されていた。油分が周囲の木材に染み込んで変色したため、部分リペアで済むはずが周辺ピースの広範囲研磨が必要になり、補修代が上がってしまった」(都内原状回復施工業者)
「アイロンの熱と濡れ雑巾でクッションフロアのへこみを直そうとした入居者が、熱を当てすぎて表面のビニール層を溶かし、焦げ茶色の焦げ跡を作ってしまっていた。元のへこみなら通常損耗で請求しなかったのに、焦げは借主の過失となりクッションフロア1面分の張り替え費用を請求せざるを得なかった」(大手賃貸管理会社担当者)
クッションフロアの軽微なへこみは、退去後に家具の圧力がなくなれば素材の復元力で徐々に目立たなくなる場合も多いため、下手に熱を加えるのは厳禁です。専門的な調色技術や樹脂の硬化技術を持たない状態での素人補修は、傷口を広げる結果になりかねません。