世界にはゴライアスガエルのほかにも「でかいカエル」として恐れられ、あるいは親しまれる巨大種が存在します。特に毒針を持たないカエルの中で圧倒的な繁殖力を見せるオオヒキガエルや、ペット市場で知られるアフリカウシガエルとゴライアスガエルをデータで比較すると、その特異性がより鮮明に浮かび上がります。
オオヒキガエル比較において最も注目すべきは、その生存戦略の対称性です。オオヒキガエルは頑強な皮膚と強力な耳腺毒(ブフォトキシン)を持ち、極めて汚れた水域や乾燥地帯でも繁殖できるため、オーストラリアや日本の南西諸島・小笠原諸島で深刻な生態系被害を引き起こす特定外来生物となっています。現在、巨大カエルの日本の生息として問題視されているのはこのオオヒキガエルやウシガエルであり、日本国内の自然界にゴライアスガエルが定着した例は過去に一度もありません。
対照的にゴライアスガエルは毒を一切持たず、清冽で溶存酸素濃度の高い急流河川という極めて限定的な微環境でしか生きることができません。「頑健な外来種として世界を席巻するオオヒキガエル」と、「手付かずの熱帯雨林の清流でしか生きられない孤高のゴライアスガエル」。同じ巨大カエルでありながら、その生態学的地位は完全に対極にあるといえます。