緑・白・赤の組み合わせは、ヨーロッパや中南米にとどまりません。中東から北アフリカにかけての広大なエリアを見渡すと、この3色に「黒」を加えた国旗が密集していることに気づかされます。これらは汎アラブ色の国旗一覧として分類される、極めて結びつきの強いデザイン群です。
汎アラブ色は、1916年にオスマン帝国に対して起こされた「アラブ反乱」の旗に由来します。14世紀のアラブの詩人サフィー・アッディーン・アル=ヒッリーの詩句節「我らの行いは白く、戦いは黒く、大地は緑で、剣は赤に染まる」に基づき、歴代のイスラム王朝(正統カリフやファーティマ朝の白・緑、アッバース朝の黒、ハシム家やウマイヤ朝の赤)を象徴する4色が統合されました。
中東および近隣地域の類似国旗を分類すると、以下の特徴的なパターンに集約されます。
- アラブ首長国連邦(UAE):竿側に垂直な「赤」を配し、右側に「緑・白・黒」の横三分割を並べた幾何学的な構成。
- ヨルダン・パレスチナ:「黒・白・緑」の横三分割をベースに、竿側から赤い三角形が中央へ切れ込むダイナミックな配置(ヨルダン旗には白い七稜星が入る)。
- クウェート:上から「緑・白・赤」の横三分割で、竿側に黒い台形が食い込む独特のレイアウト。
- オマーン:竿側に「赤」の縦帯、右側に「白・赤・緑」の横縞が走り、左上に国章(短剣ハンダル)が刻まれる。
- マダガスカル(アフリカ):竿側に垂直な「白」、右側に「赤」と「緑」の横二分割。東南アジア系メリナ人の伝統色(赤・白)と沿岸部住民の希望(緑)を融合させた独自体系。
これら中東諸国の国旗に緑・白・赤が多用されるのは、砂漠気候において「緑」が生命をもたらすオアシスや楽園を指し、「赤」が自由のために捧げた犠牲を意味するという、環境的・宗教的コンテクストがヨーロッパのそれとは全く別の次元で深く共有されているためです。