デビュー曲『STAR LIGHT』の爆発的なヒットを受け、光GENJIの次なる一手として1987年11月26日に発売されたのが『ガラスの十代』でした。制作の舵取りを担ったのは、前作に引き続きチャゲ&飛鳥(現・CHAGE and ASKA)の飛鳥涼です。当時のジャニーズ事務所が求めたのは、単に元気で明るい男の子像ではありませんでした。時代の変わり目にふさわしい、劇的で哀愁を帯びた新しい男性アイドル像の創出でした。
飛鳥涼が提示した世界観の根底にあったのは、「十代という季節が抱える剥き出しの脆さ」です。歌詞の冒頭に刻まれた「壊れそうなものばかり集めてしまうよ」という一節は、当時の歌謡界に大きな衝撃を与えました。無邪気さや強さを誇示する従来のアイドル像とは対照的に、思春期特有の心理的バウンダリー(自他の境界線)の揺らぎや、傷つくことを恐れながらも衝動に突き動かされる少年のアンビバレンス(両価性)を冷徹なまでに美しく描き出したのです。
音楽プロデューサーや関係者の証言によると、飛鳥涼自身も当時、アーティストとしての過渡期にあり、自身のソングライティングにおける抒情詩的な鋭さをこの楽曲に注ぎ込んでいました。ただのラブソングにとどまらず、「輝きはお前を抱きしめるため」というラインに代表されるように、刹那の命を燃やす少年の切迫した自立宣言が込められています。この文学的とも言える深みこそが、大人世代のリスナーをも巻き込む決定打となりました。