そして1996年、NHK大河ドラマ『秀吉』での単独主演により、竹中直人の人気と評価は頂点に達する。農民から天下人へと上り詰める豊臣秀吉を、エネルギッシュかつ泥臭く演じ切り、最高視聴率32.5%を記録。彼が叫んだ「つゆおかみ!」のセリフや、太陽のような笑顔の裏に覗く権力者の冷徹さは、従来の時代劇の秀吉像を完全に塗り替えた。
型破りでありながら時代劇の基本所作を完璧に叩き込んだ殺陣や台詞回しは、劇団時代からの地道な修行の賜物だ。コメディアン、映画監督、そして時代劇の大座長――いくつもの顔を持ちながら、そのどれもが超一流であるという凄みを、日本中に見せつけた瞬間だった。