2000年代後半、日本のインターネット空間は急速な変容を遂げていた。知人同士のコミュニティとして急速に普及した招待制SNS「mixi」と、アングラな熱気を帯びた完全匿名の巨大掲示板「2ちゃんねる」。交わるはずのなかった二つの文化領域が接触した地点で、未曾有の爆発が起きた。
当時のユーザーの大半は、自分がネット上に投じた写真や日記が「どれほど容易に外へ持ち出されるか」を理解していなかった。鍵付き日記に投稿されたプライベートな密着写真や何気ない自慢話。それらは悪意を持った閲覧者によってスクショされ、匿名掲示板という名のコロシアムへとなげうたれたのだ。内輪の悪ノリと匿名の悪意が接続された瞬間、防波堤は音を立てて崩れ去った。