人体の骨格筋は、大きく分けると「羽状筋」と、筋線維が腱と平行に走る「平行筋(紡錘状筋・帯状筋など)」の2系統に大別されます。両者は人体の運動機能において明確な役割分担を持っています。
筋線維が直線的に収縮する平行筋や紡錘状筋(代表例:上腕二頭筋)は、筋線維の長さがそのまま筋全体の短縮距離に直結するため、収縮速度が非常に速く、広い可動域を確保できるという特徴があります。一方で、1つの断面に並べられる筋線維の数には物理的な限界があるため、絶対的な最大筋力では羽状筋に及びません。
対する羽状筋は、筋線維1本あたりの長さが比較的短い設計になっています。筋線維が短いということは短縮できる絶対距離が短く、収縮速度や可動域の広さでは平行筋に劣る反面、単位体積あたりの発揮筋力(トルク)は最大化されます。重力に抗して体重を支えたり、巨大な負荷を押し出したりする抗重力筋に羽状構造が集中しているのは、まさに進化が生み出した合理的な機能美といえます。