日本全国で愛されてきた街の駄菓子屋がなぜここまで減少したのか。その背景には、単なる少子化だけではない複合的な経済・社会構造の変化が存在します。
経済産業省の商業統計や流通業界の取材データを紐解くと、駄菓子屋の閉店理由として際立つのは「店主の高齢化と後継者不足」、そして「極めて低い利益率」という構造的課題です。1個10円〜50円前後の単価で成り立つ駄菓子ビジネスは、1日に数十人〜数百人の子どもが来店しても、得られる粗利はわずかです。家賃や光熱費の高騰、さらにはキャッシュレス決済の導入負担などが重なり、建物の老朽化を機に暖簾を下ろす決断を下す個人店が2020年代を通じて相次ぎました。
しかし、駄菓子文化そのものが消滅したわけではありません。個人商店の撤退という空白地帯を埋めたのが、大型ショッピングモールへの出店を強化したチェーン展開です。代表格である「だがし夢や」の店舗一覧を見ると、全国のイオンモールやアリオなどの大型商業施設を中心にドミナント出店を継続しており、清潔で明るい店内に昭和の街並みを模した内装を施すことで、ファミリー層の支持を盤石なものにしています。
天候に左右されず、週末の買い物ついでに立ち寄れる商業施設型の店舗は、現代のライフスタイルに合致した「新しい駄菓子屋の標準形」として機能しています。