手の指の最も爪に近い関節である第一関節(遠位指節間関節=DIP関節)は、日常のあらゆる動作で細かな負荷(メカニカルストレス)を受け続ける部位です。この第一関節に痛みや腫れ、変形が生じる最大の原因はヘバーデン結節(Heberden's nodes)と呼ばれる変形性関節症です。
ヘバーデン結節の病態では、関節面を覆う弾力性のある関節軟骨が長年の摩耗や代謝変化によって徐々にすり減り、関節の隙間(関節裂隙)が狭小化します。軟骨のクッション性を失った骨は直接こすれ合い、修復反応として骨棘(こつきょく)と呼ばれる骨のとげを形成します。この過程で関節包の内側にある滑膜に激しい急性炎症が起き、指の第一関節の腫れや押すと痛い限局性の圧痛を引き起こします。
また、関節包が破綻して関節液が皮下に漏れ出すことで、爪の付け根付近にゼリー状のしこり(粘液嚢腫/ミューカスシスト)が形成されるケースも少なくありません。このしこりを「ただのタコや水ぶくれ」と誤認して針で突くなどの処置を行うと、細菌感染から化膿性関節炎を引き起こす危険性があるため、絶対にいじってはなりません。
さらに見逃せないのが、更年期に伴う女性ホルモン(エストロゲン)の急激な分泌低下です。エストロゲンには関節滑膜や腱の柔軟性を保ち、炎症を抑える保護作用があります。閉経前後を迎える40代後半から50代以降の女性において発症率が跳ね上がる背景には、加齢による物理的摩耗だけでなく、この内分泌環境の劇的な変化が引き金となっていることが近年の産婦人科・整形外科学界の共同研究でも明確に裏付けられています。