精肉売り場で消費者がインジェクション加工肉を見分けるための最大の指標は、食品表示法に基づく一括表示ラベルの確認です。現行の食品表示法では、消費者が誤認しないよう、加工処理を施した肉には必ず「牛脂注入肉」「やわらか加工」「調味液注入」といった文言の表示が義務付けられています。
原材料名欄を見れば、単に「牛肉」とだけ書かれている天然肉に対し、インジェクション肉には「牛肉、牛脂肪、還元水飴、食塩、乳化剤、増粘多糖類、調味料(アミノ酸等)」といった添加物リストが並びます。これが最も確実な判別基準です。
しかし、外食店やラベルが見づらい状況では、肉自体の「視覚的・物理的特徴」から見分ける技術が役立ちます。
第1の視覚的特徴は、「サシの不自然な直線性」です。天然のサシは曲線を描きながら不規則に広がりますが、機械で針を打ち込むインジェクション肉は、一定の間隔で直線的に白い脂が走っていたり、丸い斑点のような脂の塊が等間隔で浮き出たりします。
第2の特徴は、「肉の繊維と脂の境界線がぼやけていること」です。針で注入された調合液は周囲の筋組織を押し広げるため、赤身と脂身の境目がにじんだような質感になります。また、パックを傾けた際に、赤身のドリップではなく白く濁った油分混じりの水分が滲み出ている場合も、加工肉である確率が極めて高いと言えます。
調理中の変化も決定打となります。フライパンで焼き始めると、驚くほどの量の透明な油が滲み出し、揚げ焼きのような状態になります。焼き上がった肉は箸で切れるほど不自然に柔らかいものの、噛み締めたときに肉汁ではなく「温かい牛脂の液体」が口に広がる感覚を覚えるはずです。