人間には、自分が信じたい情報や仮説に合致する事例ばかりを無意識に集め、反証となる無数の事例を無視してしまう心理傾向がある。心理学で「確証バイアス」と呼ばれる現象だ。東原氏のブログには、何事も起きなかった日常の投稿が何千件と存在していた。しかし、人々の記憶に残るのは「ブログに書かれた後に事件が起きた」わずか数パーセントの事例だけだった。
さらに、因果関係と相関関係を混同する思考パターンもこれに拍車をかけた。たまたまAの後にBが起きたという「時系列の連続」を、人々は「Aが原因でBが起きた」という「因果関係」へと脳内変換してしまったのだ。ネット上の集合知が、特定のストーリーを作り出すために情報をろ過し、加工していくプロセスがそこにはあった。