臨床心理士が経済的な困窮に直面しやすい根本的な要因は、日本の雇用構造と診療報酬制度の設計にあります。
第1の要因は、「常勤ポストの極端な少なさ」です。病院やクリニックの求人の多くは「週2〜3日」「時給1,500円〜2,500円」といった非常勤枠で募集されます。1つの職場だけでは生活費を賄えないため、月曜と水曜はA精神科クリニック、火曜と木曜は公立中学校のスクールカウンセラー、金曜は学生相談室、土曜は民間のカウンセリングルームといった形で「掛け持ち勤務」を余儀なくされるのが日常茶飯事です。
第2の要因は、「保険点数化の壁」です。医師の診察や投薬と異なり、臨床心理士による長時間のカウンセリングや心理検査は診療報酬上の評価が低く設定されています。病院経営の観点から見ると「心理士を1人雇っても大きな利益を生まない」という構造になってしまい、結果として常勤給与の上限が抑え込まれてしまうのです。