標高1,000メートル前後の高地でありながら、なぜ日中にここまで気温が跳ね上がるのでしょうか。これには、軽井沢特有の地形的条件と、観光都市化による環境変化という2つの構造的要因が絡み合っています。
第1の要因は、軽井沢の標高と気候が持つ地理的特性です。理論上、標高が100メートル上がるごとに気温は約0.6度下がるとされます。海抜ゼロメートルの平野部と比べれば約6度低い計算になりますが、軽井沢町は浅間山の南東麓に広がる高原地帯でありながら、周囲を山に囲まれた「高原盆地」のような地形を形成しています。日中に南からの暖かい空気が流れ込み、強い日射に晒されると、上空で温められた空気が滞留しやすくなります。高原特有の澄んだ空気は紫外線を遮る塵や水蒸気が少ないため、直射日光そのもののジリジリとした強さは平地以上です。
第2の要因は、駅周辺エリアを中心とする局地的な人工排熱とアスファルト化です。軽井沢が暑い理由を現地で観察すると、旧軽井沢銀座通りや軽井沢プリンスショッピングプラザ(アウトレット)周辺では、広大なアスファルト舗装が太陽熱を蓄積し、強烈な照り返しを生み出しています。さらに夏休み期間中の慢性的な大渋滞による車の排気熱、店舗の大型室外機から吹き出す熱気が加わり、駅周辺の観光コアエリアでは「ミニ・ヒートアイランド現象」が発生しています。木々に囲まれた別荘地に一歩入れば涼風が抜けるものの、多くの日帰り観光客や一般旅行者が滞在する商業エリアでは、平地と大差ない酷暑を体感することになります。