料理の現場や給食調理の現場で実践されている、お弁当の鶏肉が固くならない方法には明確なルールがあります。特別な道具を使わず、自宅にある調味料だけで仕上がりが劇的に変わる4つのアプローチを紹介します。
第1に重要なのが鶏肉の繊維の断ち方と切り方です。鶏もも肉を広げると、皮と反対側の面に斜め方向に走る筋繊維が確認できます。この繊維に対して平行に包丁を入れると硬さが残りやすいため、繊維に対して直角に刃を入れて断ち切るように一口大へカットします。これだけで咀嚼時の噛み切りやすさが大幅に向上します。
第2に、鶏肉に砂糖と酒を揉み込み柔らかくする理由は、浸透圧と保水性の向上にあります。砂糖の分子は親水性が高く、筋繊維の間に入り込んで水分を抱え込む性質を持っています。また、酒(アルコール)は肉の保水力を高めつつ、有機酸の働きで肉質を緩める効果を発揮します。下味をつける際は、塩分よりも先に「砂糖小さじ1・酒大さじ1」を揉み込んで5分置くのが鉄則です。
第3の手法として注目されているのが、鶏もも肉のブライン液への浸漬です。水100mlに対して「塩5g(小さじ1):砂糖5g(小さじ1強)」という黄金比(5%濃度)で調合した液体に、カットした鶏もも肉を30分から1時間漬け込みます。塩が筋原線維タンパク質を溶解させて隙間を作り、そこに砂糖と水分が入り込むことで、冷めても驚くほどふっくらした状態を保ちます。
第4の仕上げは、鶏もも肉への片栗粉コーティングです。下味をつけた肉の表面に薄く片栗粉をまぶすことで、加熱時にデンプンが糊化(α化)して保水膜を形成します。内部の旨味と水分の流出を防ぎ、タレの絡みも抜群になります。