生産現場に目を向けると、とうもろこしの甘みがいかに繊細で儚いかがよく分かる。農林水産省の広報資料や農業現場のデータが示す通り、甘味種の代表であるスイートコーンは、収穫された瞬間から激しい呼吸作用を始める。自身の糖分をエネルギーとして消費し続けるため、常温に24時間放置するだけで糖度が半減してしまうことすら珍しくない。
産地の農家が夜明け前の薄暗い時間帯からヘッドライトを点けて収穫作業に追われるのは、気温が上がる前に糖度を閉じ込めたいからに他ならない。家庭に届いた段階ですでにカウントダウンは始まっている。スーパーの袋から出したら、迷わず冷蔵庫の野菜室ではなく冷凍室のドアを開けるべきなのだ。