物語を通じて象徴的に描かれ続けた「教会の鐘」は、誰かに救済を委ねる依存のメタファーだった。劇中、呉羽は鐘の音を聞いて直感的に結婚を決めたと語るが、晶と恒星はその奇跡のような音を長いあいだ耳にすることができなかった。周囲の期待や世間の規範という檻に自ら閉じこもっていたからだ。
しかし、最終話で二人が聞いた鐘の音は、神頼みの奇跡ではなく、傷だらけになりながら現実と向き合った者だけに訪れた内省の合図だった。京谷もまた母の呪縛や優柔不断さと訣別し、晶への未練を手放して一歩を踏み出した。家に引きこもっていた朱里も、5tapの店主・タクラマカン斎藤(松尾貴史)や周囲との触れ合いを経て、新しい働き口を見つける。誰かの犠牲の上に成り立つ平和ではなく、登場人物一人ひとりが自身の足で地面を踏みしめる構成は、緻密に張られた伏線の見事な回収劇だった。