この車がなぜこれほどまでに不便なのか。その答えは、生産を手がけるトヨタ車体の吉原工場(愛知県豊田市)と、歴代ランクル開発を率いてきた小鑓貞嘉チーフエンジニアの哲学にある。
小鑓氏が掲げ続けた命題はただ一つ。「どこへでも行き、生きて帰ってこられるクルマ」であること。電子制御や快適装備を満載して故障のリスクを増やすくらいなら、極限環境で壊れず、万一壊れても現場のハンマーやワイヤーで直せる構造を維持する。内装の樹脂パーツが素っ気なく、静粛性が現代基準に遠く及ばないのは、コスト削減ではなく過酷な使用に耐えうる機能美を追求した結果だ。
つまり、快適性を犠牲にした設計こそが70の本質であり、それを「不満」と感じる時点で、メーカーが想定したターゲット層から外れていることを意味する。