なぜ好意を抱きながらも逃げ腰になるのか。精神分析学者ジョン・ボウルビィが提唱した愛着理論は、このパラドックスを解く鍵となる。
心理学でいう「回避型愛着スタイル」を持つ人間は、他者と親密になることに対して無意識の恐怖を抱く。親密さが深まると自分の自由や自律性が奪われると感じ、無意識に相手を突き放してしまう。これが臨床現場でしばしば指摘されるコミットメント恐怖症の正体だ。
相手を嫌いになったわけではない。むしろ感情が高まるほど、心理的な自己防衛システムが作動し、関係を進展させる恐怖から逃走を図る。このメカニズムを理解しない限り、いくら相手に歩み寄ろうとしても空回りを続けることになる。