この大転換を牽引しているのが、株式会社丸井グループを率いる青井浩社長の明確なビジョンだ。青井氏が掲げる「売らない店」「体験を提供する場」へのシフトは、旧来の小売業・商業施設が直面する構造的課題に対する鮮烈な回答といえる。商品を棚に並べて売上を競うのではなく、顧客との継続的なエンゲージメントを築くことこそがリアル拠点の役割だと定義づけている。
店舗スタッフの役割も激変した。商品の購入を促す売り込みではなく、ブランドの背景にあるストーリーや作り手の哲学を丁寧に語りかけるコンシェルジュのような接客が定着している。モノを売るプレッシャーから解放された空間には心地よい会話が生まれ、顧客は心ゆくまでプロダクトの魅力を確かめることができる。商業ビジネスの常識を覆すこの大胆なアプローチは、業界全体に大きなインパクトを与え続けている。