彼女の生い立ちを語る上で欠かせないのが、父である破天荒な文豪・佐藤紅緑の存在である。父から受け継いだ強烈な文才と破天荒な血筋は、波乱万丈の家族の歴史を描き切った大作『血脈』(文藝春秋)として結実した。破産、離婚、家族の病や死といった怒濤の苦難が次々と押し寄せる中、彼女はペン一本で一家を支え、自らの人生を切り拓いてきた。
『血脈』に刻まれた家族たちの姿は、病魔や運命に翻弄されながらも生々しく生き抜く人間の業そのものである。彼女自身の肉体にもまた、この苛烈な血の歴史が滔々と流れており、それがどんな病気をも跳ね返す精神的な骨組みを作り上げたことは間違いない。