文京学院大学がふじみ野キャンパスの閉鎖と本郷への全面統合を決断した背景には、日本の高等教育界が直面する構造的な課題と、生き残りをかけた明確な戦略が存在します。大学経営の専門家や関係者への取材から見えてきた理由は、主に以下の3点に集約されます。
1. 18歳人口の急減と受験生の「都心回帰・駅近志向」
地方や郊外に広大な敷地を構える郊外型キャンパスは、バブル期から1990年代にかけて多くの大学で採用されました。しかし、2020年代以降の少子化の加速に伴い、受験生の志向は「通学の利便性」「アクセスの良さ」「都市部での充実した学生生活」へと決定的にシフトしました。東武東上線ふじみ野駅からバス移動を要したふじみ野キャンパスに対し、東京メトロ南北線「東大前駅」徒歩0分、都営三田線「白山駅」徒歩10分という圧倒的な好立地を誇る本郷キャンパスへの統合は、志願者獲得競争における強力なテコ入れとなりました。
2. 文系×医療系の「学際的連携教育」による独自価値の創出
これまでの2拠点体制では、文系学部(外国語・経営)と対人支援・医療系学部(人間・保健医療)が物理的に約30km離れており、学生同士の交流や共同プロジェクトに限界がありました。ワンキャンパス化により、「経営学×医療マネジメント」「心理学×理学療法・リハビリ」「グローバル語学力×国際看護」といった、学部横断型の副専攻や共同研究が容易になり、他大学にはない差別化されたカリキュラムの提供が可能になりました。
3. 就職活動と臨地実習ネットワークの効率化
保健医療学部や人間学部の学生にとって不可欠な病院実習・施設実習、そして就職活動において、都心に拠点を置くメリットは絶大です。東京都内および首都圏全域の主要総合病院や福祉施設、関連企業へのアクセスが劇的に短縮され、多忙を極める実習期間中も移動の負担を最小限に抑えられる体制が整いました。