鮮烈、という言葉だけでは足りない。第2回集英社WEB小説大賞を受賞して世に出たデビュー作『ブラザーズ・ブラジャー』は、読書界に小さくない波紋を広げた。義理の弟がブラジャーを着用しているという秘密を知ってしまった女子高生の葛藤。設定だけを取り出せば奇抜なコメディにも仕立てられそうな題材を、著者は極めて誠実に、身体性と心の揺らぎの物語へと昇華させた。
集英社から刊行された同作は、単なる思春期の性の悩みにとどまらない。他者を理解するとはどういうことか、自分だけの領域をいかに守るかという普遍的な命題を、みずみずしい筆致で読者に手渡した。奇をてらったギミックではなく、人間の本質を見つめる確かな眼差し。デビューの瞬間から、彼女の作家としての芯はすでに揺るぎないものとして確立されていた。