近年のアイヌ文化に対する世界的な関心の高まりには、ポップカルチャーの存在を無視することはできない。大ヒット漫画・アニメ作品『ゴールデンカムイ』の爆発的な広がりは、これまで歴史教科書の枠にとどまりがちだったアイヌの生活美学や狩猟技術、食文化に新たな光を当てた。作中に登場する料理や仕掛け網、道具のリアルな描写に惹かれたファンが、聖地巡礼として白老の地を訪れる光景は今や日常だ。
さらにNHKをはじめとするメディアが放送した質の高いドキュメンタリー番組も、国民的な認知度向上を強力に後押しした。単なる一時のブームに終わらせず、持続可能な観光文化産業へと昇華させる試みが現地では加速している。地元のレストランや宿泊施設と連携したアイヌ料理の提供やエコツアーの開発など、地域経済と文化振興が両輪となって動く新たなエコシステムが立ち上がりつつある。