多くの人が直面する「煮崩れ」と「身のパサつき」。日本料理の最高峰教育機関として知られる辻調理師専門学校の教えに基づけば、その解決策は「落とし蓋」と「加熱時間」の厳密な管理にある。
強火で短時間。これが魚の煮物の鉄則だ。弱火でダラダラと煮続けると、皮が剥がれ、身の中の水分が抜け切ってしまう。クッキングシートやアルミホイルで落とし蓋をし、煮汁が大きな泡となって魚全体を包み込む状態を維持する。煮汁が踊りながら身の上を循環することで、ひっくり返す必要すらなくなる。皮が破れる最大の原因は、途中で魚を動かしてしまうことなのだ。
さらに、切り身に「十の字」の切れ目を入れておくことも忘れてはならない。皮の張りを逃がし、加熱による急激な収縮を防ぐこのひと手間が、見た目の美しさと均一な火通りを約束する。