『ブラックラグーン』に登場する言葉の多くがインターネット上で語り継がれ、長年ファンを熱狂させ続ける背景には、過酷な運命に対する「絶対的なニヒリズムの肯定」が存在します。登場人物たちの多くは、国家や家族、法や宗教といった、通常なら人間を守るはずの社会的枠組みから徹底的に裏切られた過去を抱えています。
神や正義という欺瞞を剥ぎ取られた極限の荒野において、彼らが最後に手元に残したものは「銃(力)」と「生存への執着」だけでした。だからこそ、レヴィが口にする「神は留守だよ、休暇取ってベガスに行ってるのさ」という一言は、安っぽい無神論の表明ではなく、どん底のストリートで暴力に晒され続けた少女が身をもって知った世界の理不尽さそのものを告発しています。
耳障りの良い理想論や道徳観を容赦なく切り捨てる冷徹な観察眼。これこそが、平穏な日常の中でどこか空虚さや欺瞞を感じながら生きる現代の読者に対して、麻酔抜きの劇薬のように深く突き刺さる決定的な要因となっています。