バジオウという男を紐解く上で、山界の女王・楊端和との関係性は欠かせない。幼少期の彼は、山中で一人生き伸びるために言葉すら忘れ、他者を殺戮するだけの「野生の獣」と化していた。
その凄惨な過去を打ち砕いたのが、幼き日の楊端和だった。彼女は武力でバジオウを力伏せると同時に、刃ではなく抱擁をもって彼の心を受け止めた。「人間の世界」へ引き戻されたバジオウは、それ以来、彼女の夢である「世界を広げる(山界の統一と中華の平定)」ための最も鋭利な剣となった。
二人の関係は単なる主従を超えている。バジオウの卓越した双剣術と、瀕死の極限状態で発動する「獣の力」は、楊端和への絶対的な帰依から生まれる。彼にとっての死とは、彼女を守れなかった時だけに訪れるものなのだ。