変化の波は旅のスタイルにも及んでいる。これまでの効率的な観光スポット巡りとは対照的に、近年若者の間で支持を伸ばしているのが、目的地だけを決めて「その場の直感」で過ごすマイクロトラベルだ。
ガイドブックや口コミサイトの星の数に依存するのをやめ、偶然通りかかった路地のカフェに入り、店主との会話に耳を傾ける。あるいは、旅先の港でただ海を数時間眺める。効率を追求した事前の旅程表を破り捨てることでしか得られない「本物の時間」がそこにある。旅先で出会う風の冷たさ、予期せぬ雨の匂い、ローカルな食堂のざわめき。そうした身体感覚の再発見こそが、希薄化した現実感を強力につなぎ止める絆となっている。