この池の起源を辿ると、飛鳥時代から奈良時代にかけて活躍した伝説的な呪術者、役小角(えんのおづぬ)の名に行き当たります。伝承によれば、彼がこの地を訪れた際、池に棲む神聖な気配を感じ取り、祈りを捧げたことが信仰の始まりとされています。修験道の開祖として知られる巨人が遺した足跡は、千数百年を経た今も色褪せることなく、水辺の空気そのものを引き締めているかのようです。
池の中央に浮かぶ八大龍王本殿へと続く橋を渡る際、足元から伝わる独特の緊張感に気づく人は少なくありません。パワースポット・民俗学の観点からも、ここは水神信仰と修験道が交錯する極めて稀有な結界として位置づけられています。古の修験者たちが水行に励み、自然の精霊と対話した痕跡が、今もなおこの透き通るような水面の下に眠っています。