墨汁の染み抜きにおいて、ネット上の不正確な情報を鵜呑みにして取り返しのつかない失敗に陥るケースが後を絶ちません。現場のクリーニング師が警鐘を鳴らす「絶対に避けるべきNG行動」を整理します。
NG行動1:何もしないまま洗濯機に放り込む
墨汁がついた服をそのまま他の洗濯物と一緒に洗濯機で洗うのは最悪の手術です。水中で溶け出した微細なカーボンブラック粒子が洗濯槽内で再付着し、服全体が薄汚れた灰色にくすむだけでなく、一緒に洗った別の衣類にまで墨が移ってしまいます。
NG行動2:塩素系漂白剤(キッチンハイター等)を原液でかける
「白いシャツだからハイターをかければ真っ白になるはず」という思い込みは危険です。前述の通り、カーボンブラックは炭素そのものなので塩素の酸化作用では分解されません。結果として、墨の黒さはそのまま残り、服の繊維だけがボロボロになって穴が開くか、黄色く変色(黄変)してしまいます。
NG行動3:いきなり熱湯(80℃以上)をかける
油汚れには熱湯が有効ですが、伝統的な墨液(膠を含むもの)に高熱を加えると、膠の動物性タンパク質が熱凝固を起こし、繊維と完全に一体化して固着してしまいます。使用するお湯は必ず40〜50℃程度のぬるま湯にとどめてください。