一見すると士官学校時代からの無二の親友に見えた二人ですが、その内情は極めて非対称な関係でした。シャアがガルマを謀殺へと追い込んだ背景には、決して埋めることのできない出自の宿命が存在します。
シャアの真の正体は、ジオン共和国の創思想者ジオン・ズム・ダイクンの遺児であるキャスバル・レム・ダイクンです。ダイクンの急死後、権力を強奪し独裁体制を築いたのがデギン・ソド・ザビ率いるザビ家一族でした。シャアにとって、ザビ家の血筋を引く者はすべて父の仇であり、排除すべき対象だったのです。
士官学校時代からガルマに取り入ったシャアは、ガルマが持つ育ちの良さやナイーブな承認欲求、そして自尊心の高さを巧みに利用しました。第10話「ガルマ散る」において、ホワイトベースの背後を取らせる名目で偽の誘導を行い、ガンダムの十字砲火の前にガルマのガウ攻撃空母を晒したのは、入念に仕組まれたガルマ謀殺理由の結実でした。