ネット上の簡易的な英会話コラムなどで見落とされがちなのが、combにまつわる音声学的な落とし穴だ。英語のスペル通りに「コムブ」「コームブ」と発音してしまう学習者が後を絶たないが、語尾のbは完全に脱落するサイレントレター(黙字)である。
発音記号は/koʊm/であり、カタカナで無理に表記するなら「コウム」が極めて近い。過去形の「combed」に関しても、発音は「コウムド(/koʊmd/)」となり、「コンブド」などと発音すると現地ではまず通じない。一方の「brushed」は、末尾の「-ed」が無声子音/ʃ/に引きずられて/t/の音(ブラシュト)になる。この音の変化を知らないと、リスニング時に聞き落とす要因となる。
さらに文法面での最大の落とし穴が、「hair」の不可算名詞としての扱いだ。頭部全体の髪の毛を指す場合、hairに複数形の「-s」を付けることは絶対にない。「I brushed my hairs.」と言ってしまうと、頭から抜け落ちた数本の孤立した毛をブラシで一本ずつ掃いているような奇妙な印象をネイティブに与えてしまう。「髪」全体を指すときは常に単数扱いの「hair」を用いるのが鉄則である。