ハガレン賢者の石の正体と原料の闇|エドが使用を拒んだ魂の代価

ハガレン賢者の石の正体と原料の闇|エドが使用を拒んだ魂の代価

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作中で圧倒的な脅威として立ちふさがる7体の人造人間「ホムンクルス」たち。彼らの心臓部たるコアの正体もまた、他ならぬ賢者の石でした。彼らが頭部を粉砕されようと、全身を焼き尽くされようと瞬時に肉体を復元できたのは、核となった石の魂エネルギーを猛スピードで消費して傷を塞いでいたからです。

ロイ・マスタング大佐がラストを葬り去った戦いは、この「残量の有限性」を如実に物語る好例です。マスタングはラストの核が尽きるまで何十回、何百回と猛火で焼き続け、石のストックを強制的にゼロにして完全燃焼させました。無敵に思えたホムンクルスも、実質的には「数十万・数万人分の命の残高を削りながら戦う有限の存在」に過ぎませんでした。

一方、これらのホムンクルスを生み出した元凶である「お父様」は、かつて古代クセルクセス王国の国民53万人分をすべて体内に取り込んだ化け物です。しかし、そんなお父様であっても、終盤の連続戦闘で無数の錬成術を連発し、エドたちから激しい波状攻撃を受けたことで急速に体内の魂を摩耗。最終的には抑え込んでいた「神の力」の反作用に耐えきれなくなり、内側から自壊することになりました。

特筆すべきは、軍の殺人狂として恐れられたゾルフ・J・キンブリーの異様な精神性です。キンブリーは体内に賢者の石を収めながらも、石の中で怨嗟の声を上げる死者たちの叫びを拒絶せず、「世界の真理を奏でる美しい協和音」として受け入れていました。他者の魂を単なる燃料として使い捨てるホムンクルスたちとは対照的に、魂の重みと狂気を丸ごと引き受けたキンブリーのあり様は、賢者の石という存在の毒々しさを逆説的に際立たせています。

橋本 菜々子
著者

橋本 菜々子

グルメと旅を愛するフリーライター。全国各地の隠れた魅力を独自の視点から紹介します。