大分香りの博物館を訪れる旅行者の多くが目当てにしているのが、工房で開催されるオリジナル香水作り体験(調香体験)です。単に用意された香りを数滴混ぜ合わせるだけの簡易的なワークショップではなく、香水の基本構造であるトップノート・ミドルノート・ラストノートの設計理論を学び、数十種類の香料ベースから自らの感性で香りを組み立てる本格的なプログラムが組まれています。
この体験がこれほどまでに支持を集める背景には、自分自身のアイデンティティや思い出を「香り」という形なきアートに変換できる点にあります。完成した香水は30mlの専用ボトルに充填され、自分で名付けたオリジナルのラベルを貼ってその日のうちに持ち帰ることができます。さらに現地で作成した配合レシピはカルテとして番号管理され、館内データベースに一定期間保管される仕組みが整っています。後日、同じ香りが欲しくなった際には、レシピ番号を伝えることで全く同じ調合のフレグランスをリピート注文できるアフターフォローの手厚さも、リピーターを生み出す大きな要因となっています。
また近年では、お気に入りのキャラクターやアイドル、あるいは大切なパートナーのイメージを香りで表現する「推し活」の創作拠点としても注目されています。視覚や聴覚に偏りがちな観光体験の中で、嗅覚をフルに働かせて自分と向き合う没入感は、他では味わえない贅沢な時間として高く評価されています。