初心者が最も陥りやすい誤解が、「新月の大潮に行けば必ずホタルイカが獲れる」という固定観念です。潮汐カレンダーだけを見て遠方から遠征し、現地で強烈な北風と高い白波に打ちのめされるケースは毎年無数に見られます。
現実の富山湾において、最優先されるべき決定要因は「月齢」よりも「風と波」です。たとえ満月であっても、厚い雲が月を覆い、風速1メートルの南風が吹くベタ凪の夜であれば、海岸一面が青く光るほどの大爆湧きが発生することは珍しくありません。逆に、待望の新月大潮であっても、北西の風が吹き波高が1メートルを超えていれば、接岸の可能性はほぼゼロに近くなります。
また、「早い時間から場所取りをすれば獲れる」という思い込みも禁物です。ホタルイカが海岸近くまで押し寄せる時間帯は、大半が午前0時から午前4時頃の未明に集中します。20時や21時の時点で海辺に何もいないからと諦めて撤収してしまい、その数時間後に同じ場所で爆湧きが起きたという事例は日常茶飯事です。海の生態系に合わせた待機と、深夜の寒さに耐えうる防寒装備の有無が成否を分けます。