全国のスーパーで年中手に入るかつおのたたきですが、ネット上では「生臭くて苦手」「鉄臭い」というネガティブな声を耳にすることがあります。ここには、消費者が陥りがちな決定的な誤解が存在します。
第1の誤解は、「店頭に並ぶタタキはどれも同じ鮮度」という思い込みです。現在、流通しているかつおのたたきの多くは、遠洋漁業船で急速冷凍されたブロックを加工工場でガスバーナー等で炙り、再冷凍した解凍品です。適切に解凍管理されていない場合、ドリップ(細胞破壊によって染み出る水分)とともに鉄分が酸化し、特有の金属臭や生臭さが発生してしまいます。
第2の誤解は、「初鰹の時期以外に近海生カツオは獲れない」という点です。実は高知などでは、夏の7月〜8月にかけても黒潮に乗った近海モノが水揚げされており、時期によって餌の種類が変わることで微妙な風味のグラデーションが生まれています。
家庭で失敗しないためのかつおのたたき鮮度の見分け方として、パックを選ぶ際は以下のポイントを徹底チェックしてください。
- 断面の赤みと透明感:黒ずんだ赤褐色や濁った色味ではなく、ルビーのような澄んだ赤色のものを選ぶ。表面に油膜のような虹色のテカリが出ているものは酸化が進んでいる証拠。
- 血合いの鮮度:血合い部分が鮮やかなワインレッドなら高鮮度。茶褐色〜黒に変色している個体は避ける。
- パック内のドリップ:トレイの底に赤黒いドリップが溜まっているものは、旨味と水分が抜けて生臭みが増幅しているため絶対に避ける。
もしスーパーで買ってきたたたきの生臭さが気になる場合、食べる15分前にバットに並べ、全体に軽く料理酒と粗塩を振って5分置き、キッチンペーパーで表面の水分を徹底的に拭き取ってください。これだけで酸化した脂と雑味が取れ、驚くほど劇的に味が蘇ります。