ネット検索で「パタゴニア 買わ ない で ください」というフレーズを見かける際、多くのユーザーが2つの異なる事象を混同しています。この混同を解きほぐすことが、ブランドの真相を正しく理解するための重要なステップです。
第1の誤解は、「パタゴニアが製品の欠陥や品質劣化を理由に自粛を呼びかけた」という思い込みです。先述の通り、広告の意図は「衝動買いの防止」であり、製品の品質には絶対の自信を持っていました。「10年着られるように作ったからこそ、新しいものをホイホイ買わないでくれ」というメッセージだったのですが、言葉のインパクトだけが一人歩きし、製品トラブルと誤解されたケースが見受けられます。
第2の誤解は、「環境保護団体への支援や政治的スタンスを巡る、外部からの不買運動(ボイコット)」との混同です。パタゴニアは売上の1%を環境保護活動に寄付する「1% for the Planet」を主導していますが、過去にはシーシェパードなど過激な活動を行う団体への助成金拠出が日本国内で激しい議論を呼びました。一部のネット掲示板やSNSでは「反日的な団体を支援しているからパタゴニア製品を買うな」というネガティブな不買運動が叫ばれた過去があります。
つまり、ネット空間には「パタゴニア自らが発信した反消費主義の広告」と、「政治的・イデオロギー的摩擦から発生した消費者による不買運動」という、発信元も動機も全く正反対の事象が同じキーワードで混在しているのです。企業側のメッセージを追う上では、この文脈の切り分けが欠かせません。