「石灰沈着性腱板炎 カフェイン 影響」と検索バーに打ち込む読者が知りたいのは、今手元にあるカップのコーヒーが痛みの引き金になっているのかという一点でしょう。国内外の臨床研究および整形外科専門医の取材データを精査した結果、コーヒーの摂取が直接的な引き金となって腱板へ石灰が溜まるわけではないという事実が浮き彫りになりました。
肩に沈着する物質の正体は、骨を構成する成分と同じ「塩基性リン酸カルシウム(ヒドロキシアパタイト)」です。これは胃腸から吸収された食事由来のカルシウムがそのまま肩に流れ込んで固まるのではなく、局所の循環不全や腱板細胞の変性に伴い、体内の生化学的プロセスによって結晶化するもの。したがって「コーヒーを飲んだから石灰ができる」という俗説は、生化学的に明らかな誤謬です。
警戒すべきは「激痛期におけるカフェインの生体作用」です。石灰が溶け出して滑液包に漏れ出る急性期には、患部に凄まじい血管新生と炎症反応が起きています。このタイミングで高濃度のカフェインを摂取すると、交感神経が興奮して末梢血管の攣縮(れんしゅく)を引き起こし、局所の組織酸素分圧を低下させます。さらに夜間の睡眠構築を破壊し、脳が痛みを感じる「疼痛閾値(とうつういきち)」を極端に下げてしまうのです。石灰を作る原因ではないものの、「いまそこにある激痛を増幅させ、回復を妨げる増悪因子」としてカフェインが作用している可能性は極めて高いと判断できます。