インターネット上のレビューや知恵袋などで頻繁に目にするのが、「オールシーズンタイヤを履いたら2年で山がなくなった」「耐久性に難があるのではないか」という評判です。しかし、自動車工学的な視点と現場の整備データを突き合わせると、この「短命論」には明確なカラクリが存在します。
最大の理由は、通年履きっぱなしによる走行距離の累積スピードです。一般的なドライバーがサマータイヤとスタッドレスタイヤの2セットを併用する場合、年間の走行距離が1万kmであれば、それぞれのタイヤが走る距離はおよそ5,000kmから7,000km程度に分散されます。一方、オールシーズンタイヤは1セットで年間1万kmをまるごと引き受けます。カレンダー上の年数だけで比較すれば、サマータイヤの2倍のスピードで摩耗が進むのは物理的に当然の帰結です。
もう一つの要因が、トレッドゴム(コンパウンド)の設計特性にあります。オールシーズンタイヤは氷点下でも柔軟性を保ちつつ、夏場の猛暑による高温アスファルト路面にも耐えなければなりません。そのため、微細なシリカを高比率で配合した特殊コンパウンドを採用しています。オートバックスをはじめとするカー用品店各社の技術解説によると、乾燥路面の走行フィール自体は夏タイヤに限りなく近いものの、ゴム表面の細かな切り込み(サイプ)が路面との摩擦で微細な削れを起こしやすく、これが「夏タイヤ専門モデルに比べて減りが早い」と体感される構造的な背景になっています。