かつて完全ノーアイロンシャツといえば、ポリエステル主体の編物(ニット生地)が主流でした。ポリエステル100%の高機能シャツは確かにシワになりにくく速乾性に優れていますが、「汗を吸いにくく蒸れる」「独特の化繊光沢が安っぽく見えてしまう」「静電気でホコリがつきやすい」といった弱点を抱えていました。
一方で、肌触りと高級感に優れる天然素材の綿は、セルロース分子が水を含むと結合が緩み、乾燥する過程でそのまま固定化されてシワになりやすいという根本的な性質を持っています。この難題を克服したのが、近年の「綿100パーセント形態安定」技術の飛躍的進化です。
繊維加工の現場では、超低温下で繊維の芯まで改質する「液体アンモニア加工」と、分子レベルで形状を記憶させる樹脂加工を融合。さらに、洗濯時に最も歪みが生じやすい肩線や脇線、アームホールの縫い代に特殊な補強芯地を挟み込んで熱圧着する「テープ縫製」を施すことで、綿本来の柔らかさと品のある光沢を保ちながら、W&W性4.0級以上を両立させることに成功しました。
さらに、女性特有の悩みである「インナーの透け」に対しても技術革新が進んでいます。防シワ性を高めた極細繊維の内側に酸化チタンなどの特殊セラミックスを練り込み、光の透過を乱反射させることで、薄手でありながら下着のラインや色が浮き出ない「ノンアイロンシャツレディース透けない」高機能生地が標準装備されつつあります。