大半の左右差は姿勢やホルモンの個人差によるものですが、見過ごしてはならないのが左右の胸の大きさが違う病気の可能性です。特に警戒すべきは、ある時期を境に急激に左右非対称が目立ち始めたケースです。
乳がんと胸の左右非対称の関係について、乳腺外科の臨床専門医は「長年かけて固定化している左右差は過度に恐れる必要はないが、ここ数ヶ月で片方だけ急に腫れ上がった、あるいは片側の組織が硬く引き締まり左右のバランスが崩れた場合は明確な危険信号」と警鐘を鳴らします。乳がんの腫瘍が周囲の組織や皮膚を牽引することで、乳頭の位置がずれたり、片側だけ陥没・変形を起こしたりする症例が存在します。
良性腫瘍である「線維腺腫」や「葉状腫瘍」も、急速に増大して片方の胸だけを押し上げる原因となります。特に葉状腫瘍は比較的短期間で巨大化する傾向があり、肉眼で明らかな左右差を生み出します。異変を早期に察知するために、以下の乳腺外科受診の目安を把握しておくことが命綱となります。
- しこりの触知:触れたときに石のように硬く、境界が不明瞭で動かないしこりがある。
- 皮膚・乳頭の変形:片側の乳頭だけが急に陥没した、乳頭周辺の皮膚にオレンジの皮のような毛穴の目立ちや引きつれ(えくぼ兆候)がある。
- 異常分泌液:下着に血が混じったような赤褐色や濃褐色の分泌物が付着している。
- サイズ急変:月経周期に関係なく、わずか数ヶ月の短期間で片方のみが明らかな腫大・硬直を見せている。
これらの兆候が1つでも該当する場合は、民間療法や下着補正で時間を浪費せず、即座に乳腺外科でマンモグラフィや超音波(エコー)検査を受ける必要があります。