インターネット上で「意味が分かると怖い話」として語られる代表例が、「戸棚にしまっているのは死者の骨である」という俗説です。「きまりぐい(決まり食い=儀礼の食事)」のあとに戸棚へしまう行為を、火葬後の骨壺を安置する隠喩と捉える解釈が独り歩きしました。
さらに、「煮ているのは生贄の肉」「夜中に訪ねてくるのは成仏できない死者」といった猟奇的なストーリーが掲示板や動画サイトで創作され、あたかも昔から伝わる裏設定であるかのように広まった経緯があります。
しかし、民俗調査や童謡の文献資料をどれほど遡っても、人身御供や死体処理に関連する記録は皆無です。昔の庶民住宅において、調理した鍋や残った料理をネズミや虫から守るために「戸棚(蝿帳)」へ保管するのは極めて当たり前の家事行動でした。日常の所作が時代を経て見慣れないものになった結果、奇怪な深読みを生んだ典型的な都市伝説といえます。