筆者は今回の取材にあたり、大手掲示板、知恵袋、SNS上に投稿された過去3年間の天パ男性による悩み投稿1,500件以上を定性分析し、さらに都内有名メンズ特化サロンのトップスタイリスト3名に直接取材を敢行しました。そこで浮き彫りになったのは、髪型で人生の自信を取り戻した人々と、泥沼のコンプレックスに囚われ続ける人々の「明確な分水嶺」です。
大手ネット掲示板に投稿された20代男性の切実な手記には、次のような生々しい吐露がありました。
「中学時代から剛毛の天然パーマで、あだ名は『大仏』や『ブロッコリー』。毎朝40分かけてアイロンで前髪をピンピンに伸ばして登校していたが、体育のマラソンや雨の日の湿気で一瞬で元通りになり、クラスメイトの視線が怖くて仕方がなかった。社会人になり、思い切ってメンズ専門のサロンで『天パを活かしたい』と相談。サイドを刈り上げてウェット系のジェルで散らした瞬間、同僚の女性から『そのパーマどこでかけたの? めっちゃ似合ってる』と褒められた。あの10年間のアイロンの苦闘は何だったのかと泣きそうになった」
取材した銀座のメンズサロン代表スタイリストは、現場の観察知見を次のように語ります。
「天パに悩む男性の9割は、自分の髪を『直毛の基準』で測ってしまっています。直毛用のマットワックスをつけて『パサついてまとまらない』と嘆くのは、魚に木登りを強いるようなものです。くせ毛にはくせ毛専用の水分供給アプローチがあります。それに気づいたお客様は、表情が一変して明るくなり、自己肯定感を劇的に回復させていきます」
失敗を繰り返す人々の共通点は「直毛に見せかけようと小細工をして隠蔽に走ること」であり、劇的に好転した人々の共通点は「くせの動きを受け入れ、適切な油分を与えてデザインとして飼い慣らすこと」にシフトした瞬間でした。