「秋の夜長」という言葉が指す具体的な期間には、天文学上の節目と、日本の伝統的な二十四節気(にじゅうしせっき)に基づく明確な目安が存在します。
結論から言えば、一般的な実生活や暦の上で秋の夜長とされるのは、秋分の日(9月22日〜23日頃)から立冬の前日(11月6日〜7日頃)までの期間です。秋分を過ぎると、太陽が出ている時間よりも沈んでいる時間のほうが長くなり始め、夕暮れが急速に早まった感覚を肌で実感するようになります。
一方で、俳句の季語や旧暦の観点から見ると、また少し違った趣が浮かび上がります。旧暦の秋は「初秋(7月・立秋)」「仲秋(8月・白露)」「晩秋(9月・寒露)」に分かれており、文学的な季語としての「夜長」は主に晩秋(現在の10月上旬〜11月上旬)の季語として分類されます。まだ残暑が残る9月上旬ではなく、冷気が心地よく感じられ、羽織ものが恋しくなる10月こそが、まさに言葉通りのピークと言えます。
11月7日前後の「立冬」を迎えると、暦の上では冬となり、夜の長さよりも「寒さ」が主役となるため、呼び名も「冬の夜(冬夜・寒夜)」へとバトンタッチされていきます。