博多ポートタワーを語る上で欠かせないのが、設計者である建築家・内藤多仲(ないとうたちゅう)氏の存在です。早稲田大学教授を務め「耐震構造の父」と称された内藤氏は、戦後日本の高度経済成長期を象徴する数々の電波塔・観光タワーを設計しました。それらの代表作は建築ファンの間で「タワー6兄弟」と称され、日本の近代建築史における偉大な金字塔となっています。
タワー6兄弟は、長男の名古屋テレビ塔(1954年)を筆頭に、通天閣(1956年)、別府タワー(1957年)、さっぽろテレビ塔(1957年)、東京タワー(1958年)と続き、最後に誕生した「末っ子」が1964年に竣工した博多ポートタワーです。兄たちに比べて全高100メートルとコンパクトながら、内藤氏が培ってきた鉄骨トラス構造の計算技術の粋が集約されており、地震や台風の多い福岡の地で半世紀以上ビクともしない堅牢性を誇っています。
現場を訪れると、装飾を極力削ぎ落とした無骨な鉄骨美と、港町の空に映える鮮烈な赤いフレームが視界に飛び込んできます。東京タワーのような巨大建築とは異なる、ヒューマンスケールに近い距離感で内藤建築の息吹を肌で感じられる点は、建築ファンならずとも深い感動を覚えるポイントです。