中学校特別支援学級の高校進学を考える上で、視野に入れるべき選択肢は昭和・平成の時代から劇的に進化しています。公立普通科だけが進路ではありません。現在の教育環境には、多様な受け皿と受験上のセーフティネットが存在します。
高校受験における具体的な選択肢は、以下の4つに大別されます。
- 全日制公立・私立高校(一般選抜・推薦選抜):
自閉症・情緒障害学級で通常の内申点がついている場合、通常学級の生徒と対等に受験可能です。また、私立高校の受け入れ状況は年々柔軟化しており、事前の個別相談会で発達特性や支援級在籍の事実をオープンにした上で、面接や学力試験の配慮を行ってくれる私立校が増加しています。学力試験重視のオープン入試を実施する私立校であれば、内申点のハンデを完全に打ち消して合格を勝ち取ることも可能です。 - チャレンジ校・エンカレッジ校・単位制高校:
不登校経験者や学力に課題を抱える生徒を受け入れるため、調査書の評定を合否判定に用いない、あるいは面接や作文、実技検査を重視する公立高校が各都道府県に設置されています。 - 特別支援学校高等部の進路:
療育手帳を所持している、あるいは専門医の診断がある生徒を対象とする高等部です。近年は特に「高等特別支援学校」や「職能開発科」といった就労支援特化型のコースが注目を集めており、一般企業への就職率が極めて高いことから、地域によっては入試倍率が2倍を超える激戦区となっています。 - 広域通信制高校・サポート校:
個別の進度でオンライン学習を進められ、通学日数も週1日から週5日まで選べる通信制高校は、発達障害や起立性調節障害を抱える生徒にとって有力な選択肢となっています。プログラミングやアニメ、福祉などの専門スキルを学べるコースも充実しており、大学進学実績を伸ばす学校も少なくありません。
さらに重要なのが、高校入試の配慮申請手続きです。国公立・私立を問わず、入試における合理的配慮の申請制度が標準化されています。申請が認められれば、以下のような措置を受けることができます。
- 学力検査の解答時間延長(通常時間の1.3倍程度など)
- 別室での受験(刺激の少ない小部屋での受験)
- 問題用紙の拡大文字化、ルビ(振り仮名)付き問題用紙の配布
- リスニングテストにおけるイヤーマフの使用や個別音源・座席配慮
- マークシートへの記入困難に対するチェック方式への変更や代筆
ただし、これらの配慮申請には「中学校在籍時に日常的にその配慮を受けていた実績」が求められるのが通例です。入試直前になって突然申請しても認められないケースが多いため、中1・中2の定期テスト段階から個別教育支援計画に基づいた配慮実績を積み上げておく必要があります。