ギターでこの曲を弾く際、真っ先に議論となるのがカポ位置の選択です。楽曲のオリジナルキーはD♭メジャー。アコースティックギターでD♭をカポなし(レギュラーチューニング)で弾こうとすると、ほぼすべてのコードがセーハ(バレーコード)となり、アコギ特有のきらびやかな開放弦の倍音成分が完全に失われてしまいます。
音楽制作の現場やライブ映像を詳細に検証すると、最も広く採用されているアプローチは「1フレットにカポタストを装着し、キーCのフォームで弾く(Capo 1 / Play C)」スタイルです。この設定にすることで、C、G/B、Am7、Em/G、Fといった、アコギ弾きにとって親しみ深い基本フォームをベースにしながら、原曲と完全に一致するD♭のピッチを鳴らすことが可能になります。
一方で、歌い手の声域や手の大きさによっては、別の選択肢も存在します。例えば、女性が弾き語りをする場合や男性でも高音域がきつい場合、カポなしでCフォーム(実音C)で歌うか、あるいは6フレットにカポを装着してGメジャーフォームで弾く(Capo 6 / Play G)というアプローチです。カポ6のGフォームはコードの押さえ方自体は平易になるものの、ハイポジションにカポが来るためギターのボディ鳴りが高音寄りに偏り、清水依与吏氏が醸し出すアコギの太い胴鳴りや哀愁ある低音感はやや薄れる点に留意する必要があります。