Q1:護送船団方式と、現在の金融庁による銀行監督は何が一番違いますか?
A1:行政介入の「基準」と「透明性」が根本的に異なります。護送船団方式(旧大蔵省時代)は、明文化されていない通達や「MOF担」を通じた口頭指導など、不透明な事前指導によって全行を黒字に維持させようとしました。対して現在の金融庁は、銀行法や自己資本比率規制などの明確なルールを敷き、問題を起こした金融機関に対して客観的な処分(業務改善命令や業務停止命令)を下す「事後監視型」へ移行しています。弱小行を無理に救済するのではなく、健全な再編や撤退を市場原理に基づいて促す点が決定的な違いです。
Q2:なぜバブル期の銀行は「絶対に潰れない」と信じられていたのですか?
A2:戦後から1990年代半ばまでの約50年間、大手銀行が破綻した事例が1件も存在しなかったためです。経営危機に陥った金融機関が出た場合でも、大蔵省が水面下で主導し、より規模の大きい上位銀行に救済合併させて預金者や債権を100%保護していました。この「不敗の歴史」が国民や市場に絶対的な安心感を与え、「銀行は倒産しない特殊なインフラである」という強固な神話(モラルハザード)を形成していました。
Q3:護送船団方式は、現在の日本の企業文化にも悪影響を残していますか?
A3:強く残っています。自社独自のリスクを取ってイノベーションを起こすよりも、「他社と同じ行動をとって減点を避ける」という日本企業の横並び主義や、経営体力の落ちた赤字企業を公的支援で延命させる「ゾンビ企業問題」の精神的ルーツは護送船団方式にあります。失敗した者を排除せず一律に守る温情主義はセーフティネットとして機能する反面、産業の新陳代謝と賃金上昇を阻む足枷にもなっています。